【完】俺のこと、好きでしょ?
無意識のうちに手を伸ばし、そっとその髪に触れて、顔にかからないようにはらった。
すると、パシリとその手が掴まれる。
「……えっ?」
「……何してんの?」
パチリと目を覚ましている有馬くんは、キッチリあたしに焦点を当てている。
「え……あ、ええ!? 起きてたの!?」
「今起きた」
テンパるあたしの手を離し、スッと身を起こして大きく伸びをした有馬くんは、辺りをキョロキョロ見渡した。
そして、チラリと時計を一瞥する。
「あれ。いつの間にこんな時間に……」
「ホントだよ。どうしてこんな時間まで教室で眠ってたの?」
「昨日、朝方まで絵を描いてたから眠たかったんだと思う。さっきまで旧図書室にいたんだけど、ここ戻ってきて、ずっと待ってるうちに寝てたみたい」
「……? 待ってたって、何を?」