【完】俺のこと、好きでしょ?
「有馬くんは先に行ってていいよ。場所は、美術室でいいんだよね?」
今日は梓、部活ないって言ってたから……。
そんな日は決まって、有馬くんは美術室で絵を描くって決まってる。
「うん、美術室。けど、ここであんたを待ってる」
「え、なんで? 待ってなくていいよ」
「待つっつってるじゃん」
「だ、だって……」
こんなに近くで見られてたら、妙に緊張して気が散るじゃん……。
手を止めて、有馬くんに視線でそう訴えるが、やっぱりそれだけでは彼に伝わらない。
「どうしたの? いいからあんたは早く日誌を終わらせなよ。俺は、あんたの仕事っぷりを見とくから」
「それなら、手伝ってくれてもいいんじゃ……」
「いやだよ。だってそれ、俺の仕事じゃないし」