【完】俺のこと、好きでしょ?



「有馬くんは先に行ってていいよ。場所は、美術室でいいんだよね?」



今日は梓、部活ないって言ってたから……。


そんな日は決まって、有馬くんは美術室で絵を描くって決まってる。



「うん、美術室。けど、ここであんたを待ってる」



「え、なんで? 待ってなくていいよ」



「待つっつってるじゃん」



「だ、だって……」



こんなに近くで見られてたら、妙に緊張して気が散るじゃん……。



手を止めて、有馬くんに視線でそう訴えるが、やっぱりそれだけでは彼に伝わらない。



「どうしたの? いいからあんたは早く日誌を終わらせなよ。俺は、あんたの仕事っぷりを見とくから」



「それなら、手伝ってくれてもいいんじゃ……」



「いやだよ。だってそれ、俺の仕事じゃないし」



< 232 / 462 >

この作品をシェア

pagetop