【完】俺のこと、好きでしょ?
「なに? 俺に見張られるのはいやなの?」
「み、はり……?」
「そう、見張ってるんだよ。あんたが俺の目を盗んで、勝手にいなくならないように」
有馬くんの瞳が、あたしを捉える。
ジッと、離さないように。
ドキリと心臓が音を立てた。
だけどすぐ、我に返る。
……あ、そうか。
有馬くんは、人がいなくなるということに敏感なのかもしれない。
これはあたしの勝手な憶測だけど、有馬くんはつい先日、大切な人が姿を消してしまったばかりだ。
だから……あたしですら勝手にいなくなることを、少しばかり恐れてるのかもしれない。