【完】俺のこと、好きでしょ?
「有馬くん、大丈夫だよ。あたしはいなくなったりしないから」
「……え?」
「最初からここにいたでしょ?ずっと、有馬くんの近くに」
堂々とそう言えば、有馬くんは目を丸くしてあたしを見ている。
日誌を書く手を止め、ジッと有馬くんのことを見つめていると……。
ぷはっと吹くような笑い声が耳に届いた。
「ははっ。なんか、勘違いされてそうな気もするけど……うん、そうだね。あんたはいつも、俺の傍にいてくれたよね」
……ん? あれ?
なんか、思ってた反応と違う!?
「まあ、あんたが別のヤツのとこに行かなくても、他の男が寄ってくる可能性があるから……」
ボソリと有馬くんが、何かをつぶやいた。
「え?なに?なんて?」
「だから結局、見張りが必要ってこと」
…………。
ますますわからなくなって、首をかしげる。
「あんた、絶対鈍いって言われるでしょ。とりあえず今は、早くその日誌を終わらせればいいってことだよ」
「なんだかはぐらかされた気がする……」