【完】俺のこと、好きでしょ?
あたしの小さな文句を無視し、席から立ち上がった有馬くんは、ポンッと軽くあたしの頭に手を置くと、そのまま教卓のあるところへ歩き始めた。
そして、黒板に書かれている文字をキレイに消し、明日の日付と日直の名前を書いてくれた。
……あ、日直の仕事手伝ってくれた。
めんどくさいって言ってたのに。
優しくするの、ズルいなぁ……。
未だに頭に残る有馬くんの手の感触が忘れられず、髪の毛1本1本にまで全神経が行き渡ってるみたいに、この胸が有馬くんに反応している。
黒板の前に立つ有馬くんを見てると、以前の黒板の前での2人のやり取りを思い出した。
そういえばあたし、前にあそこにこっそり、〝有馬くんが好き〟って書いたんだっけ……。
そして有馬くんは、あたしの好きなものをいっぱい書いてくれた。