【完】俺のこと、好きでしょ?
「い、行かないよ」
あたしは慌てて首を振る。
何故だか、すぐにそうしないと、有馬くんの機嫌をより一層損ねてしまう気がしたからだ。
「当たり前。行かせないよ」
「……っ」
「そのための見張りだから」
有馬くんの言動に、胸がキュウッと締め付けられる。
その間にも、有馬くんはあたしのもとへやってきて、そのままスマホを持っている手首を掴んだ。
「やっぱダメ。俺の用が先」
「え……?」
「待ってようかと思ったけど、ちょっと今は余裕ない。あんたがそんなだから、焦る」
どういうこと?
先程から、有馬くんはところどころ語彙が乏しい気がする。
ちゃんと言ってくれないと、わからない。
「来て」
「わっ」
そのまま有馬くんに引き連れられ、あたしは美術室までやって来た。