【完】俺のこと、好きでしょ?
あ、有馬くんに掴まれてる手首が熱い……。
有馬くんにとっては、なんてことないことなのかもしれないけど、あたしの心臓は早鐘を打つようにドキドキとしていた。
美術室に着いてもなお、手を離してくれない有馬くんは、そのまま1つのキャンバスの前まであたしを連れてきた。
「……?」
カバーが掛けられてるため、その絵は見えない。
けれど、有馬くんがあたしの手をカバーにかけた。
「……とってみて」
「え?」
「見て、その絵」
……あ。
もしかしてこれが、有馬くんの言ってたあたしに見せたかった絵……?
今度は、別の意味でドキドキする。
期待に胸が膨らみ、あたしはそっと、言われた通りにカバーを取った。
「わあ……」
その下に隠されていた絵に、思わず感嘆の息が漏れる。