【完】俺のこと、好きでしょ?
「はは、これは〝うわっ〟じゃないんだ」
有馬くんは、楽しげにそんなことを言う。
だけどこれは……全然違う。
思わず息を呑んでしまうくらいに、とてもすごい絵だった。
もともと有馬くんは、絵を描くのがとても上手だ。
けれど、今まで見てきた数少ない作品の中でも、これは特別、雰囲気が今までと全然違った。
こんな本物みたいな美しい絵を描きあげられるなんて……有馬くんは本当に天才だと思う。
キャンバスに描かれていたのは、孤高のオオカミと夜空に浮かぶ大きな美しい月だった。
オオカミの毛並みも1本1本がとてもリアルで、月光に照らされることで、より一層その毛並みは輝きを増して美しかった。
黄金色に輝く双眼は、ジッとただ、こちらを見つめている。