【完】俺のこと、好きでしょ?
有馬くんの鼻先が、軽く頬に当たっている。
音も匂いも全てが遮断され、有馬くんの触れてる頬と唇だけが、とても熱かった。
触覚以外の五感を、有馬くんの唇に奪われてしまったような、そんな感覚。
やがて、温かな吐息と共に唇が離れる。
有馬くんは、イタズラを成功させた子供みたいに微笑んだ。
「知ってるよ」
「……え?」
「球技大会のとき、俺が試合に行こうとした時、あんた言ってたもんね。俺のこと好きって」
「………………」
…………っ!!?
「き、聞こえてたの!!?」
「うん。俺、地獄耳だから」
ふっと勝ち誇ったように笑う有馬くんに、あたしの恥ずかしさはマックスを越えた。
心臓と音がうるさくて、もう何も考えられない。