【完】俺のこと、好きでしょ?
だけどそれとは逆に、今まで感じたことのない喜びで、胸が押しつぶされそうだった。
……あたし、有馬くんと両思いになれたの?
嘘……。
だって有馬くんは、ずっと棗先輩のことが好きなんだろうなって……。
これからも、そうなんだろうなって……思ってたから……。
信じられない事実に、あたしは思わず自分の頬をつまんでみた。
「……痛い……」
「面白い顔。こっちもつまんでい?」
了承する前に、有馬くんにもう片方の頬をつままれてしまった。
「リスみたい」
遊ばれてる……。
けれど、有馬くんがつまむ頬は痛くなかった。
その指先は、そっと優しく、あたしの頬をつまんでる。
楽しそうに笑って、愛おしそうにあたしを見つめる有馬くんを見てると、胸がキューッと締め付けられて……涙がポロリと溢れ出た。