【完】俺のこと、好きでしょ?
そして、今に至るというワケだ。
約束の時間まで、あと5分。
あたしは少し早く来すぎたみたいだ。
「う、うえぇぇぇぇんっ!!」
スマホを見て時間を確認していると、突如、どこからともなく聞こえてきた子供の泣き声に、顔を上げる。
その大きな悲鳴にも似た声の方を見れば、まだ幼稚園にもいかない小さな男の子が大泣きして立っていた。
最初は迷子かと思ったけど、よく見ると男の子のそばには人がいた。
周りのみんなが何事かとそこに視線を集中させるが、近寄ろうとしないのはそのせいかも。
「ちょ、泣くなって!な?」
あたしくらいの年齢の人だろうか?
その男の子の目線までしゃがんで、焦ったようになだめている私服姿の男性が視界に入った。