【完】俺のこと、好きでしょ?



「まじ泣くなって……ホント……」



……ん?


よく見ると、その2人は接点がないような関係にも見て取れる。



やっぱり迷子かも、と思った時にはもう既に足が自然とそちらへ寄っていた。



「どうしたの?」



泣きじゃくる男の子の視線に合わせかがみ、できるだけ不信感を与えないよう笑って尋ねる。



すると男の子は、グスッと鼻をすすりながら、



「お母さんとはぐれちゃった……」



と答えた。



……やっぱり、迷子だったんだ。




「じゃあ、お姉ちゃんと一緒に探そっか?」



あたしはそう言って、男の子の手を取った。



「え、ちょ……あの……」



さっきまで男の子に泣かれて項垂れていた男性が、戸惑いの声をあげる。



「大丈夫です。あたしがなんとかするので」



「でも……」



< 256 / 462 >

この作品をシェア

pagetop