【完】俺のこと、好きでしょ?
「ね、君!」
急いで待ち合わせ場所の噴水のところへ戻ろうとすると、スッと肩を掴まれた。
振り返ってみると、そこには、さっきケイくんに泣かれて慌てふためいていた男の人がいた。
「あの……?」
「さっきはありがとう。あの子、泣き止まなくてどうしようかと思ってたんだ」
その人は、本当に助かったと言わんばかりの笑顔を向ける。
「いえ、全然。お母さんもすぐに見つかったんで」
突然、見知らぬ人に声をかけらたことに戸惑うが、それよりも有馬くんを待たせてることが気がかりで焦ってしまう。
けれどこちらの都合など知るよりもない彼は、自分のペースで話を続け、やがて「ん?」とかたまって、あたしを見つめた。
よく見れば、彼は派手めな色の猫っ毛を揺らすくせに、可愛いくて甘めなフェイスを持つ男の子だった。
「……あれ? あんた、どっかで見たことある気がする……」
「え?」
「どこだっけなぁ……?」