【完】俺のこと、好きでしょ?
腕を組みながら、真剣に考え込む彼に、あたしは戸惑いの汗が浮かぶ。
……あたし、こんな人知らない。
なんだか怪しくて、ちょっと怖くなったから一歩あとずさってしまった。
「ちょ、ちょっと待って!何怖がってんの?俺怪しくないから。本当に思い出せそうなんだって!ほら、もっと顔をよく見せて……」
……わっ!
男の人があたしの顔に手を飛ばしてきたその瞬間、あたしは腕を掴まれグイッと逆方向に引かれた。
「何してるの」
聞きなれた声が、あたしの耳に届く。
そして、あたしを庇うようにして誰かがあたしの前に立ちはだかった。
「……有馬くん……!?」
突然現れた有馬くんは、不機嫌オーラをプンプン漂わせながら目の前にいる男の人を睨んでいる。