【完】俺のこと、好きでしょ?
「……なにボサッとしてんの」
「へ?」
しばらく歩き続け、ようやく待ち合わせ場所の噴水が見えてきたところで、有馬くんは急に立ち止まった。
「待ち合わせに遅れて他の男とお喋りなんて、いいご身分だね」
そして、あたしと向き合うようにそんな文句をつぶやく。
「ち、違うの!あたしはただ、迷子の子が……」
「迷子?」
「そう……。ケイくんのこと、助けただけで……」
〝ケイくん〟という言葉に、有馬くんがピクッと反応したのがわかった。
「……え?俺?」
「あ、有馬くんじゃなくて……迷子の子が、ケイくんっていうの」
「…………」