【完】俺のこと、好きでしょ?
やがて、店員さんがふたつのケーキを持って運んできてくれた。
目の前にケーキが置かれると、鼻をくすぐる甘い匂いに喉が鳴る。
すっごくおいしそう!
ふわっふわのスポンジにコーティングされたクリームの上に、ちょこんと置かれる真っ赤な苺があたしを誘惑する。
「いただきます!」
あたしは早速手を合わせて、フォークを手に取った。
だけど、それと同時にあたしの前からケーキが姿を消した。
「え……?何するの有馬くん!」
あ、あたしのケーキが……!有馬くんに奪われた!
「まだ食べさせない」
「そ、そんな……!」
上がったテンションが、急降下していくのがわかる。
意気込んだだけに、あたしはガックリと肩を落とした。