【完】俺のこと、好きでしょ?
「ケーキごときでそんな絶望しないでよ」
「だって……」
「あんたが悪いんだよ。俺を不機嫌にさせるから」
……ん?
どういうことか確かめるべく、顔をあげると、有馬くんは不満げに口を尖らせながらつぶやいた。
「俺も……慧だし……」
「え……?」
「有馬じゃなくて……慧だって言ってんの」
数秒の沈黙が続く。
周りの声が一切聞こえないくらいに、有馬くんの言葉が頭の中でこだましていた。
えっと……それって……。
「呼んでよ」
「……っ!」
そっと、ケーキを持ってない方の手が、机の上に置いていたあたしの手の上に重なる。
ドキリと心臓が跳ねた。