【完】俺のこと、好きでしょ?
「名前で呼んで……美月」
……ず、ズルい。
あたしの顔の熱が、急上昇していくのがわかった。
心臓がドックンドックンと、加速していく。
「子供なんかより、俺のことを慧って呼んでよ」
……なっ……あうっ……!!
ケーキより甘いです、有馬くん!
もしかして、迷子のケイくんに嫉妬してるの?
ちょっと可愛すぎるんですけど、この人。
彼の紅潮する頬は、まるであたしにも伝染していくようだった。
ドキドキとする心臓を落ち着かせるように、少しだけ体に力をいれ、一呼吸する。
「……慧、くん」
意を決して、あたしは彼の名前を呼んだ。
「もっかい」
「え」
「もっかい……いや、10回でもいいけど……呼んでくれたら、ケーキ返す」
「……なに、それ……」
見れば、有馬くんは耳まで真っ赤だ。
それを見てるだけでくすぐったい気持ちになる。