【完】俺のこと、好きでしょ?
「慧……くん」
「ん」
名前を呼ぶと、それに応えるように、重なった手をギュッと握りしめる。
そんな些細なことに、キュンキュンするあたしは、きっと彼のことが好きでたまらないらしい。
重なる手のひらは熱くて、どちらの体温かわからないくらいに同じ温度になっていた。
……どれくらい時間が経っただろうか。
気まずくはないけど恥ずかしくて、どちらともなく離れがたかった手のひらが、スッと離れる。
そして有馬くんは、あたしのケーキを返してくれて、今度はフォークを持って自分のタルトを上手に切り取った。
そして、そこにたくさんのフルーツを乗せ、皿ごとあたしに差し出す。
「はいこれ」
「あ、ありがと……」
照れながらも、お言葉に甘えてフルーツタルトを半分いただいた。