【完】俺のこと、好きでしょ?
「……なんで」
「え?」
「なんでお前が奪うんだよ!俺の方が先に葉山のことを……!!」
取り乱した石原くんに目を丸くする。
だけど、驚くあたしの顔を見て、逆に石原くんはハッとしてとどまった。
……奪う? あたしのことを……?
石原くんの言葉の意味がわからず、首をかしげる。
すると石原くんは、一呼吸置いてあたしに向き直った。
「葉山、今から言う俺の言葉、信じて聞いて」
真剣な瞳が、あたしを捕らえる。
数秒の間のあと、石原くんは口を開いた。
「お前のことが好きだ。高校を入学したときから、ずっと」
「……え?」
「大事な話ってのは、このことを伝えたかったんだよ」
突然の告白に、あたしはかたまってしまった。
冗談でしょって笑い飛ばしたいけど、それができない。
こんなにも真剣な彼を、笑い飛ばすことなんて、不可能に決まってた。