【完】俺のこと、好きでしょ?
すると隣で、「はあ……」とため息をつく声が聞こえたてきた。
有馬くんだ。
「だから会わせたくなかったんだよ」
こうなることがわかってた、とでもいうような言い方。
何も言えないあたしの代わりに、有馬くんが石原くんに訴える。
「悪いけど、この子はもう俺のだから」
「有馬に言ってない。俺は葉山に言ってる」
「あげないよ」
あたしが何か言う前に、有馬くんが遮る。
「この子が心変わりしようが、俺のことイヤになろうが、誰にも譲る気ないから」
「…………」
石原くんがギロリと有馬くんを睨む。
だけど有馬くんは、ちっとも怯む様子を見せない。
そんな状況ではないと頭でわかってても、有馬くんの言葉にあたしの胸はドキドキと音を立てている。