【完】俺のこと、好きでしょ?
不機嫌そうに、有馬くんはつぶやいた。
「なにバカなこと言ってんの」
「頼むよ、有馬。葉山くれたら、お前になんでもくれてやるから……」
さっきとは打って変わって、弱々しそうにそうつぶやく石原くん。
そのか細い声にまで、胸がギュッと締め付けられる。
……痛い。
こんなにも想ってくれてる人の気持ちに応えられないなんて……痛すぎるよ。
「いらないよ」
「…………」
「この子以外は何もいらない。他のものは自分の努力で手に入れる。だけどこの子だけは無理。絶対にだめ。1番大事だから」
「……んだよ、それ」
俯く石原くんの手が、そっと離れた。
ずっとだんまりだったあたしも、ようやく口を開く。