【完】俺のこと、好きでしょ?
「この絵、ちゃんと取っててくれてるんだね」
「うん」
有馬くんと付き合い始めた日、有馬くんはあたしに、この絵を持ち帰るのは大変だろうから、見たくなったらいつでも自分の家に来ればいいと言ってくれた。
この絵を見たくなるたびに有馬くんの部屋に行くということは、必然的に有馬くんに会えるとことだと思って、あたしは心からOKした。
そんなあたしの気持ちなど知らないであろう、有馬くんは、タンスの中から2枚のタオルを取り出し、1つをあたしに手渡した。
「これで拭いて」
「あ、ありがとう」
タオルはふわふわで、有馬くんの香りがあたしの鼻腔内を支配する。
……いい匂い。
再び、めいいっぱい有馬くんの香りを吸い込もうとしたせいか……
「っくしゅん!!」
勢い余って、くしゃみが出てしまった。