【完】俺のこと、好きでしょ?
相変わらず言葉の意味がわからず首を傾げていると、有馬くんは画材の準備をやめて、ちょいちょいと手招きしてあたしを呼んだ。
なんだろうと思いながら近寄ると、勉強机の椅子を引き、そこに座るように指示される。
「髪、乾かす」
そして、さっき脱衣所にあったドライヤーを持って上がってたみたいで、それを使ってあたしの髪を乾かし始めた。
ブオーンという機械音と共に、温風があたしの湿った髪に吹きかかる。
「え、いいよ!自分でできるし、有馬くんも早くシャワー浴びた方が……」
「俺にやらせて」
自分より長い髪を乾かすのが初めてなのか、ちょっとだけぎこちない乾かし方。
だけどそれは、どんなに上手な美容師さんのドライヤーよりも心地よくて、ドキドキした。
背後にいる有馬くんの存在を愛しく思う。