【完】俺のこと、好きでしょ?
「ひゃっ!」
ふいに、有馬くんの指先があたしのうなじに触れた。
後ろの髪を乾かしてる最中、突然の出来事だった。
……な、なに!?
驚きのあまり振り返ると、有馬くんはちょっと不満げな顔をしている。
「乾いた」
「あ、ありがと……」
……びっくりしたぁ。
手で有馬くんに触れられた後傾部を押さえる。
急に触ってきたけど、どうしたんだろう?
「あとであんたの絵を描きたいと思ってるんだけど、いい?」
「えっ、それって、絵のモデルってこと?」
「そういうこと」
あたしは、もちろん!とばかりにコクコクと頷いた。
すると有馬くんは、嬉しそうに微笑む。
「じゃ、すぐあがってくるからテキトーに暇つぶして待ってて」
有馬くんは、そこらへんの本棚にあるものなら見てもいい、とだけ言ってお風呂に行ってしまった。