【完】俺のこと、好きでしょ?
少しでも仲良くなろうと近づく女の子はたくさんいる。
なのに有馬くんの態度はつれないもので、冷たく突き放して終わり。
めげずにアタックし続けている女子もいるっていうのに、気にもとめてない様子。
有馬くんの態度もすごいけど、周りの恋する乙女もすごいや。
少なくともあたしにはマネできない。普通、冷たくされたら関わることに抵抗がある。
まぁ、そういう硬派なところがまたいいのかもしれないのだけれど……。
「あー、最悪!バイト遅刻しそう!」
突然、そんな声が聞こえて振り返ると、同じ掃除当番だった子が焦った様子でゴミ箱のゴミ袋を取り出していた。
「急げー」
周りの子はケラケラと笑ってその子を急かす。
いやいや、手伝わないのかい。
まったく、仕方ないや。
あたしは最後にもう一度、窓の外を一瞥する。
すると有馬くんは、もうすでに背を向けて歩き出してしまっていた。
……無愛想だな〜。
そういえば、あの人の笑った顔って見たことないかも。さすが一匹オオカミ。
冷たい人なんだろうなー、たぶん。
でも、もし笑ったらどんな風なのかな……?