【完】俺のこと、好きでしょ?



あたしはアルバムを閉じると、ギュッそれを胸に抱きしめる。



「どうして有馬くんは、あんまり写ってないの?」



「……写真、そんなに好きじゃないから」



その言葉が、寂しく思えた。



思い出なんて、いらなかったのかな?


有馬くんは昔から、ずっと1人だったのかな?




「あたしは、有馬くんとの思い出……残したいな、なんて……」



言っている途中で、無性に恥ずかしくなってしまった。


タオルで髪を拭いてた有馬くんが、ピタリと動きを止める。



髪の先から滴る雫が、シンプルなTシャツを濡らしていた。



「……じゃあ、撮る?」



「え?」



「いいよ。あんたが撮ってくれるなら」



また再びタオルで髪を拭き始めながら、有馬くんがつぶやく。


その姿にすら、見惚れてしまいそうになる。



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