【完】俺のこと、好きでしょ?



「あつい……。有馬くん、もしかして熱あるんじゃない?」



「……ない」



力無さげに否定して、ゆっくりと抵抗するように起き上がる。


だけどすぐにでも力が抜けそうなほど、支えてる手が弱々しかった。



「だってこんなに熱い……。もしかして、あたしが先にお風呂に入って雨で濡れたままでいたから……」



「それは違う。あんたのせいじゃない。朝からちょっとだるかったし」



ふるふると首を振って否定する有馬くんが、すぐに何かに気がつき「あ」とつぶやいた。


その顔は、〝しまった〟というような顔をしている。



朝からだるかった……?



「有馬くん、今日、体調悪かったの?」



「…………」



出た。


有馬くんの必殺、自分の状況がまずくなったら無言になる攻撃。



でもそれは、彼の肯定を意味する。



< 307 / 462 >

この作品をシェア

pagetop