【完】俺のこと、好きでしょ?
普段の有馬くんなら、口を滑らせるような、そんな失敗はしないだろう。
だけど今回はしんどい方が勝って、そんなこと考えてる余裕がなかったのかもしれない。
「……なんでしんどいのに、無理なんてしたの?」
そこまでして、会う必要なんかないのに。
有馬くんの体調の方が心配だよ。
「……んたに……」
「え?」
「俺があんたに、会いたいって思っちゃダメなのかよ……」
弱々しく紡がれた言葉に、胸がドキリと脈打つ。
有馬くんの熱っぽい視線が、あたしを見つめた。
だけど突然、さっきと同じような体勢になり、ギュッと強く抱きしめられる。
恥ずかしさを隠すように、有馬くんがあたしのお腹に顔をうずめる。
「石原に取られたくない……」
その行動も、言動も、すべてがくすぐったくて、胸がキュンッと締め付けらる。