【完】俺のこと、好きでしょ?
く……っ!
また出た、有馬くんの甘える攻撃。
この人はいったい、いくつ違った顔を持ってるんだろう。
いつもはクールな男の子なのに、たまにこんな風に叱られた子供みたいに甘えてくる。かと思えば、ときどき牙を剥くオオカミみたいな一面が見え隠れする。
それに振り回しれてるあたしは、まさに逃げられないウサギ状態だ。
これが罠だとしたら、巧妙すぎる。
「もしあんたにうつったら、今度は俺が看病してあげる」
ちょっと勝ち誇ったみたいに、 小さく微笑む有馬くんに、あたしはさらに顔が熱くなるのを感じた。
焦るあたしの様子に、有馬くんは楽しげに笑いながらつぶやく。
「可愛い。もっと見せてよ、そんな顔」
「な……!」
「そう。そんな風に俺の行動ひとつで表情コロコロ変えて、俺のことだけ考えてればいいよ」