【完】俺のこと、好きでしょ?



「有馬くんも何か困ったことがあったらあたしに言ってよ!なんでもしてあげるよ!」



今日、助けてもらったお礼に。なんて言葉も付け足そうと思ったけど、やめた。



有馬くんには恩返しとか関係なく、力になれることがあるならしてあげたいと思ったから。



でも、なんでそんな風に思うんだろう?




すると有馬くんは、画集から顔を上げ、上向くと口を結んで考え出した。


そして、「じゃあ……」とつぶやく。



「俺の専属お世話係やってよ。 放課後、画材とか運ぶの面倒なんだよね」



ふっと笑いながら、冗談めいたようにあたしを見てそう言った有馬くん。



……わっ、笑った……。



初めて見るその珍しい笑顔に、ドキッとする。



< 34 / 462 >

この作品をシェア

pagetop