【完】俺のこと、好きでしょ?
「有馬くんも何か困ったことがあったらあたしに言ってよ!なんでもしてあげるよ!」
今日、助けてもらったお礼に。なんて言葉も付け足そうと思ったけど、やめた。
有馬くんには恩返しとか関係なく、力になれることがあるならしてあげたいと思ったから。
でも、なんでそんな風に思うんだろう?
すると有馬くんは、画集から顔を上げ、上向くと口を結んで考え出した。
そして、「じゃあ……」とつぶやく。
「俺の専属お世話係やってよ。 放課後、画材とか運ぶの面倒なんだよね」
ふっと笑いながら、冗談めいたようにあたしを見てそう言った有馬くん。
……わっ、笑った……。
初めて見るその珍しい笑顔に、ドキッとする。