【完】俺のこと、好きでしょ?
「バカにしてる?」
「え、まさか! むしろ逆。俺ね、オシャレで派手な子より、ひっそりと影で努力してる女の子とか超タイプなんだよね。
せっかく超ドストライクな子と接点持てたのに、その子がつんけんしてて、逆にグッとくるというか……。どうやったらもっと仲良くなれるかなーって悩んでるとこ」
「…………」
「ねぇ、どうしたらいいかな?美月ちゃん」
「……知らない」
フイッと顔をそらしながら、そう呟く。
すると朝霧くんは、ははっと笑いながら「つれないなぁ〜」と、また冊子を留め始めた。
申し訳ないけど、あたしはもろ苦手タイプだ。
「有馬といるときは、もっと自然に笑ってるじゃん。ああいう顔してよ?」
「え……」
あたしは手を止め、顔を上げてしまった。
「夏休みのとき、ふたりはデートしてたんでしょ?」
返事に窮した。
そう言えば、あのとき、あたしと有馬くんが一緒にいるところを朝霧くんに見られていた。
そして、朝霧くんは有馬くんのことを知ったように、名前を呼んでいた気がする。