【完】俺のこと、好きでしょ?
美術室から出てきた有馬くんと、真正面から向き合う形になってしまった。
「わ、ビックリした。なんだ、あんたか。こんなところで何してるの?」
「あ、えと……その……実行委員の仕事終わって……たまたま通りかかって……」
下手くそな嘘をつく。
どうしよう、早くこの場から離れたい。
「たまたま?俺のカバンを持ってきてくれたんじゃないの?」
「…………」
あたしの手にある2つのカバンを見て、有馬くんはそう言う。
それなのに無言でいるあたしに、有馬くんは何も聞こうとしなかった。
「こんなところで突っ立ってないで、中に入ってこればいいのに」
「どうしたんですか?有馬先輩」
すると、有馬くんを追って、さっき親しげに話していた女の子も美術室から顔を出した。
その子はあたしの存在を認識すると、驚いたように目を見開く。