【完】俺のこと、好きでしょ?
直感だけど、彼女はおそらく……。
……有馬くんのことが、好きだ。
「有馬先輩、早く続きしましょうよ」
あたしが迷ってる間にも、女の子はグイグイと有馬くんの腕を掴んで引っ張っている。
「ヒナタ、離して。痛い。俺この人と話してるから、先に戻って続きしてきなよ」
「えー……」
……ヒナタ、ちゃん、か。
また、ズキンと胸が疼いた。
「有馬くん、悪いけどあたし、早く家に帰ってクラスの方の文化祭準備でできてないことをしなきゃいけないんだよね……」
「え、そうなの?」
「うん。だから、先に帰るね。絵の完成楽しみにしてる」
有馬くんのカバンだけ手渡すと、あたしは一人ぼっちのカバンを手に、美術室をあとにした。
……あの場にいる勇気は、あたしにはないから。