【完】俺のこと、好きでしょ?
すっかり日が暮れてしまい、もう校舎には人がいなかった。
本来なら実行委員のあたし達が最後まで残ってるはずだもんね。
「美月!」
……え?
玄関先で靴を履き替えようとしてると、突然、背後から名前が呼ばれた。
振り返ると、有馬くんが小走りにこちらへ来て、あたしの前で立ち止まった。
「ごめん。送れないから、せめて見送りだけしようと思って」
「え、えっ!?そんなのいいのに!」
「まあそれは口実で、久々に2人になりたかっただけ」
そう言って、誰もいないことをいいことに、有馬くんがあたしの手を引き、角度を変えて顔を近づけ、軽く唇をかすめた。
――チュッ。
「っ!!」
「ん、これでよし」
微笑む有馬くんに、胸がドキドキと騒ぎ始める。
人気がないとは言え、ここは校舎なのに……!