【完】俺のこと、好きでしょ?
「もうちょっとで絵、完成するから。あれ描き終わったら、また一緒に帰ろ」
……有馬くん……。
「うん。待ってる」
「じゃあね」
名残惜しそうにあたしの手を離し、踵を返す有馬くんの背中を見つめる。
もしも有馬くんが、文化祭の絵を描かなかったら、あの後輩の女の子とも仲良くならなかったのかな……。
……って、あたし今、なに考えた?
バカじゃないの。有馬くんが絵を描かなかったら、とか。
そんなこと、絶対に思っちゃいけない。
自分のイヤな部分が見えてくる前に、あたしは首をブンブン振って、頭の中をリセットした。