【完】俺のこと、好きでしょ?
そっと、誰かの手があたしの髪に触れる。
「……んっ……」
どれくらい眠ってたんだろう?
現実へと引き戻される感覚に、あたしは確かに意識を取り戻しつつあった。
「……朝霧、くん……?」
呼べば、頭を撫でていた手がピタリと止まる。
……あれ?
なんだか違和感を感じて、あたしはその気配にゆっくりとまぶたを開けた。
「…………」
「…………」
「…………え?」
目を開けると、目の前に有馬くんがいた。
あたしの前髪に息がかかるくらい近くに。
そんな至近距離で、まるで眠り姫の目覚めを待っていたような眼差しで、横たわったままあたしをジッと見つめている。
……同じベッドの中で。
「おはよう」
「……おは、よ……う……」