【完】俺のこと、好きでしょ?
「バカじゃないの。倒れるまで無理するとか、本末転倒じゃん」
……うっ、ごもっともです。
「しかも、俺じゃない男の前でとか……。ホント最悪」
……?
あたしの目を見ずにそう言った有馬くんの顔は、赤く染まってた。
その姿は、まるで拗ねてる子供のよう。
指に絡めたあたしの髪をクルクルして、まるで、いじけてるみたいな……。
「俺の知らないところで無理しないで。すぐに助けにいけないから……」
有馬くんは、あたしの髪の毛先に、そっと口づけを落とした。
その仕草に、胸がキュンッとする。
「あんたが倒れたって聞いて、心臓止まるかと思った」
そんな、大袈裟なことじゃないのに。
「……誰に聞いたの?」
「石原が、美術室まで走ってきて教えてくれた」
そうだったんだ……。