【完】俺のこと、好きでしょ?
「あんたはどうせ、俺が無理すんなって言っても無理するだろうし、今更何言ったって無駄だろうから……」
「……?」
そっと、手首を掴んでた手が離れて、あたしの頬に触れた。
頑張ったご褒美のように、優しくそっと撫でる有馬くんの手が心地よくて、目を閉じる。
「だから、こうやってあんたに優しくするのは俺だけね?」
首の後ろに回った手。
そのままそっと、有馬くんはあたしを包み込むように抱きしめる。
「甘えるのも、甘やかすのも。頑張ったらご褒美あげるのも、俺だけ。……わかった?」
「……っ」
「早くわかったって言いなよ。じゃないと、今度はこうするよ?」
いつかのように首筋につけた痕を思い浮かばせるようなチクリとした痛みが、鎖骨辺りに走った。