【完】俺のこと、好きでしょ?



「だってそうでしょ?じゃあ聞くけど、美月のその言い方だと、有馬くんが絵を描くためなら、ヒナタに有馬くんを譲ってもいいってことだよね?」



「……っ! 違う。そんなんじゃない……!」



「でも言ってることはそういうことだよ。相手のためなら、自分の気持ち押し殺してでも他の子と一緒にいてもいいってことじゃない」


あたしはブンブンと首を横に振って否定した。



「そんなの……イヤ」



「ね?イヤでしょ。それが美月の素直な気持ちじゃん。ならもっと貪欲に、欲しいものは欲しいって言えばいいんだよ。美月はいつも他人のことばっかり考えて、自分のことを我慢させてばかり。それって自分に可哀想だよ」



ハッとした。



少し怒気を含んだその口調は、梓なりの優しさがいっぱい詰め込まれていることに、気がついた。



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