【完】俺のこと、好きでしょ?
……梓は、あたしのために怒ってくれたんだ。
あたしが、あたし自身の心を否定しないように……。
「美月は優しいから、その優しさをもっと自分に向けてもいいと思うよ」
不覚にも、泣きそうになった。
ずっと、羨ましかったんだ。
ちゃんと〝自分〟を持っているみんなのことが。
あたしは、人に嫌われたりするのが怖くて、すぐ周りに合わせてしまうところがある。
他者に頼りにされて、それで自分の存在意義をどうにか保っていたのかもしれない。
梓みたいに、好きな絵を思いっきり伸び伸びと自由に描く姿。
石原くんみたいに、委員長として自分らしいことをとことんやっている姿。
……有馬くんみたいに、周りに何を言われようと自分の気持ちのままに突き進む姿に……。