【完】俺のこと、好きでしょ?
放課後だったため、文化祭の準備を梓に任せ、あたしは美術室に向かった。
有馬くんとヒナタちゃんが一緒にいても、あたしはちゃんと気持ちを伝えよう。
ヒナタちゃんには、渡せないって。
有馬くんのことが好きだって。
けれど……。
「……あれ?」
美術室には、誰もいなかった。
さっきまで誰かがいた形跡はある。
カバーのかかったキャンバスが2つ置かれているし、他の画材もそのまま置きっぱなしである光景が、それを物語っていた。
もしかして、さっきまで2人はここにいたのかな?
なら今は、どこにいるんだろう?
あたしは焦る気持ちを抑えられず、急いで自分のスマホを取り出す。
どうか、出て欲しい。
そう願いながら、有馬くんへ電話をかけた。