【完】俺のこと、好きでしょ?



耳に届いてきた聞き覚えのある女の子の声に、思わず固まってしまった。



〝葉山先輩は、有馬先輩の絵をダメにします〟



真っ直ぐにあたしに向けて放たれた言葉は、今も強く印象に残ってる。



……どうして……?



どうして2人は、美術室じゃない場所で一緒にいるの……?



『今、美月と話してるから、ヒナタは先行ってて』


『え……。また、彼女さんですか?』



思考がうまく回らない。


無意識のうちに、呼吸を止めてることに気づいた。



『美月?』


「……っ!」



有馬くんが、あたしの名前を呼ぶ。



『ごめん、今ヒナタと一緒にいて……。続けていいよ』



……続ける?


さっき言いかけてた話を、このままの状態で続けろってこと?


……そんなの、無理だよ。


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