【完】俺のこと、好きでしょ?




「どうして、ヒナタちゃんと一緒にいるの?」


『えっ?』



やっと勇気を出して伝えようと言葉は、あたしの醜い感情に隠れてしまっていた。



だって……。



〝もうちょっとで絵、完成するから。あれ描き終わったら、また一緒に帰ろ〟



有馬くん、前にあたしにそう言ってくれたよね?


ならどうして、ヒナタちゃんと一緒に帰ってるの?


どうして、先に絵を完成させないの……?



あたし、待ってたんだよ。ずっと、自分の気持ち押し殺して待ってたのに……。



「嘘つき」



ダメ。我慢して、あたし。止まって。




『美月、待って。聞いて』



「もう、意味わかんない。有馬くんのことがわかんないよ!」



『みづ……』



――プツン。



心のコントロールができず、あたしは一方的に有馬くんとの電話を切った。



その瞬間、気が緩んだのか、それとも他の理由でか、涙がドバッと溢れ出た。



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