【完】俺のこと、好きでしょ?



「あれ、美月? 早かったね」



教室に戻ってきたあたしを、驚いた表情で出迎える梓。


さっき背中を押してもらったばかりなのに……申し訳ない気持ちになった。



「ごめん、梓。できなかった」



眉を下げ、笑みを浮かべる。



「え……?」



「有馬くんは、ヒナタちゃんを選んだんだ」



「どういうこと? 本人がそう言ったの?」



「ううん、直接は聞いてないけど……。
さっき、美術室にいったら有馬くんがいなくて、おかしいなと思って電話したらヒナタちゃんといたんだよね。
絵を完成したら、また一緒に帰ろうって約束してくれたのに、絵も完成させないままヒナタちゃんと一緒に帰ってたってことは、そういうことでしょ?」



「…………」



捲し立てるように説明してしまった。


梓がジッと、あたしを見ている気がする。


見透かされてる気がした。あたしの醜い部分を……。



< 386 / 462 >

この作品をシェア

pagetop