【完】俺のこと、好きでしょ?



「嘘、ごめん。できなかったじゃなくて、しなかったの。怖くなって逃げてきちゃった」



「美月、」



「本当は有馬くん、何か言いたいことがあったはずなのに、あたし聞かなかった。聞きたくなくて、理由も聞かずに怒っちゃったんだ」



「……うん」



「どうしよう、梓。あたしもう嫌われちゃったかな?」



「大丈夫。大丈夫だから、泣くな」



気づかないうちに、あたしの目には涙が浮かんでいたみたいで。


梓はポンポンっとあたしの背中をさすってくれた。


それに安心して、ますます涙が溢れてくる。



……こんな弱い自分、イヤだ。



「美月は反省してるんでしょ?」



コクリと頷くと、また一粒の涙がこぼれ落ちた。



「なら大丈夫。今は混乱してていっぱいだと思うから、落ち着いて美月が話せるようになったら、また有馬くんと話せばいい」



「……うん」



< 387 / 462 >

この作品をシェア

pagetop