【完】俺のこと、好きでしょ?
こんな、何もないあたしなんかのことを想ってくれる人。
あたしは今から、その人に伝える。
勇気を出して……深呼吸を1つ。
そのまま、勢いよく頭を下げた。
「でも、ごめんなさい。あたしには今、好きな人いるの。初めて、こんなにも好きで、諦めたくないって思うような人で……」
思い浮かべるだけで、愛おしくて。
それだけじゃ足りなくて、会いたいと、触れたいと思ってしまうくらい、大切な人。
何もなかったあたしを、満たしてくれるような……かけがえのない存在。
「だから、朝霧くんの気持ちには答えられません」
「……そっか。ちゃんとフッてくれてありがとう、美月ちゃん」
「…………」
「ね、お願いだから、顔上げて?」
言われた通り、ゆっくりと顔をあげた。
申し訳なさに、私の顔はひどく歪んでいたと思う。
「やーっと冷たくない美月ちゃんに会えた。泣いてる姿とか、超レアじゃん!俺はラッキーだな」