【完】俺のこと、好きでしょ?
「びっくりした。いつ来たの?」
「今さっきだよ。一応、メールしたんだけど……」
「そうなんだ。ごめん、スマホ見てなかった」
「ううん、きっと忙しいからそうだろうと思ってた。あたしこそ、こんなときに来て大丈夫だった?」
あたしが首を傾げて尋ねると、彼は持っていた絵筆を机の上に置いてこちらにやってきた。
「うん、それは全然問題ないよ」
「ならよかった」
安心して、あたしは近くにあった机に手土産のケーキを置かせてもらう。
「展覧会の絵はどう?順調?」
「いや……あんまり。まあ、俺が自主的に描いてる絵もあるから、仕方ないけどね」
やれやれといった様子で、ため息をつく有馬くん。
またこの人は、この忙しい時にいろんな絵を掛け持ちしてるのか。
でもまあ、それだけ絵を描くことが好きなんだろうな……。