【完】俺のこと、好きでしょ?
「あんまり根をつめ過ぎると体がもたなくなるよ?
確か、昨日、夜遅くに連絡したときも研究室にいるって言ってたよね?」
「うん。風呂と着替えだけしに家に帰って、あとはほぼここにいたかな」
徹夜続きのような目の下のクマ。
整ってるとは言い難い髪型が、確かにそれを物語っていた。
「嘘……じゃあ、あんまり眠れてないんじゃない?」
「まあ、確かに睡眠時間は少ないけど。
でも今は、眠るのも惜しいくらい描きたい絵があるから、別に平気」
そう言って、寝不足とは思えないほど楽しそうに、有馬くんは顔を綻ばせた。
「ちょっと待ってて。今、お茶をいれるから」
「え、ダメダメ!有馬くんは疲れてるんだから座ってて?
あたしがいれる。フルーツタルト買ってきたから、一緒に食べよ?」
そう言うと、有馬くんはパッと目を輝かせた。
甘党な彼が激推しするケーキ屋のフルーツタルトだから、きっと喜んでくれることは間違いないだろう。