【完】俺のこと、好きでしょ?
どうやら彼女は、あたし達の一個上の先輩みたい。
どうりで見たことないワケだ……。
こんなキレイな人、同じ階にいたらすぐに気づくはずだもんね。
「それより慧。今度、コンクールに出す絵は?」
「俺は絵なんて出さないよ。ただ趣味で描いてるだけだから」
「そんなこと言って……もったいない。美術部の顧問の先生も、有馬くんの絵はぜひ出展したいって言ってるのに。
ねぇ、どうして美術部に入らないの?」
……あれ?なんかあたし、盗み聞きしてるみたい。
ふたりにとって、あたしは空気みたいな存在なのかな……。
彼女と有馬くんには、あたしの知らない関係があるんだということを、思い知らされた。